IllustratorCCの画像トレースって便利だけど、余分なパスができたり、パスが複雑になってしまったりして、パーツとしてはいまいち使いづらいと感じたことはありませんか?
本記事ではちょっとした手間を加えることで、画像トレースの際の不要なパスを一発で取り除く簡単な方法を、初心者の方にもわかりやすくご説明いたします。
僕はこれまでグラフィックデザインの実務に携わっており、Illustratorにこの機能が備わってからは、主に以下のようなケースでこの方法を使っています。
●極端に拡大縮小する必要があるラスター画像(ピクセル画像)を使用する時
●リアルなタッチのイラストが欲しい時
●細部の表現が面倒な時
●権利的な理由で写真の使用が難しい時
画像トレースの利用法
Illustrator CC 2019では、画像トレースウィンドウを使う方法がやりやすいと思います。
ウィンドウが表示されていない場合は、「ウィンドウ」ー「画像トレース」で表示されます。

使い方は、ウィンドウを開いて対象画像を選択し、好みのパラメータに調整後、プレビューにチェックを入れるかトレースを押します。
トレース結果がOKなら「オブジェクト」ー「分割・拡張」を適用します。
画像トレースのパラメータ
プリセット:予めカラーモードなどが登録されていますが、結果がイメージ通りになることが少ないので、個人的には全く使用していません。
表示:画面に表示される内容です。「拡張」する前なら元画像を参照することができます。
カラーモード:カラー・グレー・白黒を選べます。
パレットまたはしきい値:モードの色数などが調整できます。
詳細ーパス:元画像とパスの相似値を設定します。値が大きくなるほど元画像に近い精度になります。
詳細ーコーナー:値を大きくするほどコーナーポイントが増えます。
詳細ーノイズ:トレース中に無視する領域をピクセル単位で指定します。大きい値を指定するほど、ノイズが少なくなります。
詳細ー方式:隣接(切り抜かれたパスを作成)、重なり(重なり合ったパスを作成)
詳細ー作成:塗り(塗りが適用された領域をトレース結果に作成します)、線(トレース結果に線幅のあるパスを作成します)
詳細ー線:元の画像に含まれているなぞることができる線の最大幅を指定します。なぞった線が最大幅より大きい場合は、トレース結果ではアウトライン化された領域となります。
曲線を直線にスナップ:わずかに曲がった線を直線で置き換えるか、0 または 90 度に近い線を絶対 0 または 90 度にスナップするかどうかを指定します。
ホワイトを無視:白で塗りつぶされた領域を塗りつぶしなしの領域に置き換えるかどうかを指定します。
画像トレースをパーツとして使用しやすくするための方法
画像トレースをパーツとして使用する際に問題となるのが、
●大量の不要なパス
●使いたい部分のみ切り抜きしたい
です。
これを解決するコツは、トレースを適用する前に、予め使いたい部分のアウトラインをなぞっておくことです。
そうすることで、後に不要なパスを取り除き、画像の必要な部分だけを取り出すことができます。

次に画像を選択し、好みのパラメータで画像トレースを適用します。
今回はカラー、フル階調、パス100%、コーナー0%、ノイズ100pxに設定しています。

そして、予め描いたアウトラインを画像より上のレイヤーに配置して全てを選択し、パスファインダーの「切り抜き」を適用します。
パスの細かさによっては多少時間がかかりますが、こうすることで必要な部分だけを切り抜くことができます。

後はそのパーツに対して、好みの変更を施します。
